こんにちは。
先週末はかなり冷え込みました。
今週後半からは気温が上がるようで春の訪れを感じられるようになるかもしれませんね。

さて昨年11月に流行したインフルエンザですが、再び流行しています!
1月26日~2月1日の定点医療機関あたりのインフルエンザ報告数で愛知県は38.75、名古屋市は32.24でともに警報レベルの30に達しています。
今回の流行はインフルエンザB型が主ですので、今シーズン一度インフルエンザになっている方も、もう一度なる可能性がありますので注意が必要です。

愛知県HP インフルエンザ発生状況より

名古屋市HP インフルエンザ情報より

インフルエンザB型の特徴

A型ウイルスとB型ウイルスの違い

例年インフルエンザB型は春先に患者さんがちらほらいらっしゃいますが、ここまで流行することは稀でした。
A型のインフルエンザウイルスの方が種類が多く、変異のスピードが速いことが理由と考えられています。

インフルエンザに限らず、ウイルスはRNAやDNAの遺伝情報とそれを基に作られるタンパク質だけで構成される最も小さな病原体です。
自身では増殖する能力はありませんが、ヒトや動物に感染すると感染した動物(宿主と言います)の細胞に取り込まれて、宿主の細胞の中でRNA(もしくはDNA)が大量に複製され、それを基にタンパク質もたくさん合成されてウイルスが増殖します。
増殖したウイルスが放出されて、また別の細胞に取り込まれることを繰り返して感染が広がります。

インフルエンザウイルスは、ウイルス内部にある核タンパク質とマトリックスタンパク質の抗原性の違いによりA, B, C, Dの4つの型に分類されます。
ヒトで問題になるのはA型とB型で、C型はごく軽い症状のみ、D型はヒトへの感染は報告されていません。

A型インフルエンザウイルスの場合、ヒトだけでなくトリやブタ、ウマなどの他の動物にも感染します。
ウイルスを構成する表面タンパク質の「ヘマグルチニン (H)」 と「ノイラミニダーゼ (N)」という2種類のタンパク質をもとに分類されています。
H抗原は18種類、N抗原は11種類あり、かけ算で様々な種類の亜型が生まれます。
自然界では、主に野鳥から130種類以上のA型ウイルス亜型の組み合わせが確認されていますが、ヒトで流行する亜型には、A(H1N1)「Aソ連型」A(H3N2)「A香港型」があります。
これらのウイルスはさらにそれぞれの中で、毎年のように小さい変異をすることで宿主への感染性を維持しています。

B型インフルエンザウイルスにもH抗原とN抗原がありますが、それぞれ1種類しかなくそれ以外の抗原性の違いで山形系統ビクトリア系統という2種類の系統にわかれます。
B型ウイルスはこれまでのところヒトでしか感染が確認されていません。
ヒト以外にも感染するA型ウイルスと比べると感染する宿主の数が圧倒的に少ない上にその種類も少ないため、変異のスピードが遅くあまり感染が流行しないと考えられています。

ちなみに院長は医学部4年生の基礎研究のカリキュラムでウイルス学教室に配属され、まさにこのB型インフルエンザウイルスの遺伝子変異について実験・研究をしていました。
今回のコラムを書きながら、当時勉強していた内容を懐かしく思い出しております。

症状の特徴

B型インフルエンザウイルスによる感染症をインフルエンザB型と呼びます。
流行することが少ないので、「B型は症状が軽い」と誤解されていらっしゃる方もいますが、基本的にはインフルエンザA型と同じです。
頻度の多い症状は、38℃以上の高熱、咳、鼻水、痰などです。
症状だけではA型とB型を区別することは難しいでしょう。

一方で、A型と比較した場合のB型の特徴がいくつか報告されています。

  • 嘔吐、下痢などの消化器症状の頻度が高い。(特に子どもで)
  • 発熱期間が長い。(最高体温は変わらない)
  • 発症が緩やか。(はじめは37℃台だが、半日~1日経過してから上がることも)

中には消化器症状で始まって、後から発熱する場合もあり、胃腸風邪・胃腸炎と診断されるケースもあります。
また抗インフルエンザ薬を使ってもすぐに解熱しないため、薬が効いてないのではと心配になるかもしれません。

治療についてはインフルエンザA型と同じようにタミフルなどの抗インフルエンザ薬が有効です。
発症48時間以内であればウイルスの増殖を抑えて回復するまでの日数を短くする効果と重症化を予防する効果が報告されています。
抗インフルエンザ薬の使用は早いほど効果が高いため、症状があれば早めの受診をお願いします。

※当院では、感染拡大防止のため感染症の疑われる方と一般診療の方とは可能な限り空間を分けて対応させていただいております。発熱や風邪症状などで受診される方はその旨を受付スタッフにお伝えいただきますようお願いいたします。

<参考文献>
CDC Types of Influenza Viruses
Y N Oh, et al. Clinical similarities between influenza A and B in children: a single-center study, 2017/18 season, Korea. BMC Pediatr. 2019 Dec 3;19:472.


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徳重クリニック
院長 池田知雅
神経内科専門医、認知症学会専門医、頭痛学会
頭痛外来、もの忘れ外来