こんにちは。
先日R7年度のインフルエンザ予防接種開始の案内をいたしましたが、コロナワクチンも10月20日(月)より接種を開始します。
使用するワクチンは昨年度と同じファイザー社製のコロナワクチン(コミナティ® )ですが、2025/2026シーズン用としてオミクロン株JN.1系統LP.8.1株対応のものになっています。
一般の方は16000円ですが、65歳以上の方は市町村からの補助がありますので自己負担3000円で接種可能です。
今年度からは予約不要で当日接種できます。
今年の夏流行したコロナウイルス
今年はお盆前からコロナ陽性者が増え始め9月も高止まりしている状態でした。
厚生労働省から発表されるデータを見るとようやく減少傾向に転じたようですが、実際の診療では検査をすると未だに陽性になる患者さんがちらほらいらっしゃいます。
今年の夏に流行したコロナウイルスの変異株で主流のものはオミクロン型から派生した変異型「NB.1.8.1」で、通称「ニンバス」と呼ばれるものです。
その特徴はのどの痛みで、欧米では「カミソリ刃の喉(razor blade throat)」と呼ばれ、カミソリを飲み込んだような強烈な喉の痛みがあるとして注目されています。
ただし実際には発症したばかりはのどの症状が目立たず発熱や倦怠感のみの方や、逆に発熱は無く通常の風邪症状だけの方など症状は様々です。
ニンバスのウイルスとしての特徴は「ヒトの細胞への結合力」と「免疫からの回避能力」にあるとされていて、これまでの変異株と比べて感染力がやや強いとされています。
一方で、重症化する割合などに大きな差はないとみられています。
なぜこの夏流行したのか
上で説明したニンバスの感染力の強さに加えて、以下の要因が考えられます。
- 猛暑による換気機会の減少
記録的な猛暑が続いたことで、冷房をつけた室内で過ごす時間が増え、窓を閉め切ることが多くなりました。そのため、ウイルスが空気中に留まりやすくなった可能性があります。 - 人の移動の活発化
毎年のことですが、お盆休みや夏休みに旅行や帰省などで地域を越えた人の移動が活発になり、感染が広がる機会が増えました。 - 夏バテによる免疫力の低下
厳しい暑さによる体力の消耗や食欲不振は、気づかないうちに免疫力を低下させることがあります。体の免疫力が弱っているとウイルスが侵入しやすくなったとも考えられます。
今年のワクチンは今流行している変異株に効果があるのか
ファイザー社のプレスリリースによると、マウスを用いた非臨床試験データですがオミクロン株JN.1系統LP.8.1株対応COVID-19ワクチンがXFG、NB.1.8.1、LF.7、および現在流行している他の変異株に対して、昨年度のオミクロン株JN.1変異株対応COVID-19ワクチンに比べ、より優れた免疫反応を示したと報告されています。
もちろん安全性についても確認されており、副作用については従来のワクチンと同様です。(厚生労働省の新型コロナワクチン定期接種の案内)
夏の流行は一旦収束しても、例年お正月前後に再び流行しています。
冬の乾燥に加えて、暖房のために換気の機会が減ることやお正月の人の移動が原因とみられています。
高齢者の重症化率は依然高いと報告されています。
安心してお正月を過ごすためにも、今のうちから準備をしておきましょう。
<参考文献>
厚生労働省 新型コロナウイルス感染症 報道発表資料
東京大学医科学研究所 プレスリリース「NB.1.8.1株のウイルス学的特性」
ファイザー株式会社 プレスリリース 「新型コロナウイルスオミクロン株JN.1系統LP.8.1株対応COVID-19ワクチン製造販売承認を取得」
北名古屋市 徳重・名古屋芸大駅徒歩3分
内科・脳神経内科・循環器内科・小児科
徳重クリニック
院長 池田知雅
神経内科専門医、認知症学会専門医
頭痛外来、もの忘れ外来