こんにちは。
急に寒くなって、風邪症状で受診される方が増えています。
インフルエンザの患者さんも増えていますので、皆さん注意してくださいね。
前回、前々回のコラムでインフルエンザ、コロナのワクチン接種のご案内をいたしました。
それに加えて65歳以上の方は帯状疱疹と肺炎球菌のワクチンも対象となる方がいらっしゃいますので、人によってはこれから4種類のワクチン打たないといけないけどどれから打った方が良いの?と質問されることがあります。
優先順位はその方の病状や生活環境、誕生日までの日数などによって変わりますが、一般的にお勧めされる順番で各ワクチンの注意点をまとめたいと思います。
(公費助成の情報は北名古屋市の方を対象とした内容となっています。それ以外の市町村にお住まいの方は各自治体の情報をご確認ください。)
1.インフルエンザワクチン
インフルエンザ、もうすでに流行ってます!
愛知県も名古屋市もすでに定点医療機関当たりの報告数が1.0を超えて流行期入りが発表されています。
実際、風邪・発熱症状で当院を受診される患者さんでもインフルエンザA型陽性の方が増えています。
予防接種を受けてからインフルエンザに対する抵抗力(免疫)がつくまでに2週間~4週間程度かかります。
これは他のワクチンも同様です。
打ってすぐ効果があるわけではないのですが、去年はコロナに対する感染対策が緩んだこともあり年末年始に爆発的にインフルエンザの患者さんが増えました。
ちょうど多くの医療機関が休診期間に入っていたこともあり各地の休日診療所に発熱患者さんが殺到し数時間待ち、場所によっては受付打ち切りになったところもあったそうです。
ワクチン接種で発症を完全に防げるわけではありませんが、発症しても高熱が出ない、早く回復するなど軽い症状で済むことも期待できます。
まだ接種されていない方は早めの接種を強くお勧めします。
高齢者の公費助成での接種は自己負担1200円、期間は令和8年1月31日までです。
2.コロナワクチン
お盆あたりにピークだったコロナの流行はようやくだいぶ収まりつつありますが、愛知県発表の10/13~10/19の定点報告数では3.32とインフルエンザよりまだ多いです。
実際当院でも検査をすると陽性になる患者さんはまだちらほらいらっしゃいます。
コロナの流行はこの2-3年では夏と冬に年2回ピークを迎える傾向があります。
前回のコラムで述べた通り、換気機会の減少と人の移動の活発化が主な原因とみられています。
高齢者の重症化率は依然高いと報告されています。
安心してお正月を過ごすためにも、今のうちから準備をしておきましょう。
高齢者の公費助成での接種は自己負担3000円、期間は令和8年2月28日までです。
3.帯状疱疹ワクチン
今年度から北名古屋市でも助成の対象となった帯状疱疹ワクチン。
接種対象の方はもうお済みですか?
今年度の公費助成での接種の対象者は、以下の年齢でまだ帯状疱疹ワクチンの接種をされていない方です。
- 65歳になる方
- 70、75、80、85、90、95、100歳になる方
- 101歳以上の方(令和7年度に限り全員が対象)
- 60〜64歳でヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能の障害を有する者として、厚生労働省令で定める方
対象者には今年の4月末に北名古屋市から予診票と案内文が郵送で届いているはずです。
ご確認ください。
接種するワクチンは生ワクチンと不活化ワクチン(シングリックス®)から選べます。
それぞれの特徴は以前のコラムで説明した通りですが、費用が許せば10年経っても7割の発症予防効果のある不活化ワクチンをお勧めします。
ただし、不活化ワクチンは2か月以上の間隔をあけて2回接種する必要があります。
2回目が公費助成での接種期間:令和8年3月31日を過ぎてしまうと2回目は全額自費になってしまいますので、ご注意ください。
公費助成での自己負担額は生ワクチンで2500円、不活化ワクチンで1回6500円×2回で合計13000円です。
また公費助成での帯状疱疹ワクチン接種の機会は、一生涯で一度きりですので、検討されている方は忘れずにお申し込みください。
(65歳の方でも、今年度を逃すと5年後の2030年以降は肺炎球菌ワクチンと同様に70歳以上の方は対象にはなりません。)
4.肺炎球菌ワクチン
肺炎は日本人の死亡原因の第5位であり、成人の肺炎の約2~3割は肺炎球菌という細菌の感染により発症すると報告されています。
また肺炎球菌が原因となる肺炎(肺炎球菌性肺炎)は、特に高齢者や基礎疾患(慢性呼吸器疾患、心疾患、糖尿病など)を持つ方で重症化しやすいとされています。
肺炎球菌は肺炎以外にも、髄膜炎の原因となったり、敗血症(全身に細菌感染がおよんで重篤な臓器障害が引き起こされる状態)になって、いずれも重症化して致死率が高いことがわかっています。
こうした命に係わるリスクの高い肺炎球菌による感染症の発症を予防する観点から小児および高齢者で肺炎球菌ワクチンが定期接種化されています。
ただし成人と小児では使用するワクチンが異なります。
肺炎球菌には90種類以上の血清型があり、成人の肺炎球菌性肺炎の原因となる頻度の多い23種類の血清型を対象としたワクチン(ニューモバックス®NP)を高齢者の定期接種で用いています。
公費助成での接種対象者はこれまで肺炎球菌ワクチン(23価)の接種をしたことがない65歳の方、および60歳以上65歳未満で身体障害者手帳1級相当の臓器・免疫機能障害を有する方です。
65歳になられる方は、誕生月の翌月初旬に北名古屋市から予診票と案内文が届く予定です。
自己負担額は2500円で、接種期間は65歳から66歳になる誕生日の前日までです。
当院ではすべてのワクチンが接種可能です
もちろん、当院では今回ご案内したワクチンすべて接種可能です。
インフルエンザとコロナは予約不要で当日受付時に専用の予診票をお渡しいたします。
帯状疱疹と肺炎球菌はあらかじめ電話もしくは受付窓口でご予約いただき、市から届いた予診票に必要事項を記入し当日お持ち下さい。
ワクチンの種類によって、接種期限が異なりますのでご注意ください。
余裕をもってワクチンの接種スケジュールを立てられることをお勧めいたします。
<参考文献>
北名古屋市HP 「大人の予防接種」
厚生労働省HP 「予防接種・ワクチン情報」
Fujikura Y, et al. Aetiological agents of adult community-acquired pneumonia in Japan: systematic review and meta-analysis of published data. BMJ Open Respir Res. 2023; 10(1):e001800.
北名古屋市 徳重・名古屋芸大駅徒歩3分
内科・脳神経内科・循環器内科・小児科
徳重クリニック
院長 池田知雅
神経内科専門医、認知症学会専門医
頭痛外来、もの忘れ外来
