こんにちは。
ダブル台風で今週末は荒れた天気になりそうですね。
大雨に地震と最近は災害が続いていますので、皆さん気をつけてお過ごしください。

さて、今回は生活習慣病シリーズの第二回、テーマは「高血圧症」です。

高血圧症とは

高血圧症とは字の通り血圧が高い状態です。
高血圧症の診断基準は以下の通りです。

  • 診察室で測定した血圧が140/90 mmHg以上
  • 家庭で測った血圧が 135/85 mmHg以上

上の血圧の基準を満たさなくても、130〜139/80〜89 mmHgを「高値血圧」、120〜129/80 mmHg未満を「正常高値血圧」として分類し、これらの段階から適切な管理を始めることが推奨されています。

血圧の仕組み

「血圧」とは、心臓から送り出された血液が血管の壁を押す力(圧力)のことを指します。
心臓はポンプの働きをしていて、収縮と拡張を繰り返して全身に血液を送り出します。
心臓がギュッと収縮して血液を送り出すときの圧力を「収縮期血圧(上の血圧)」と呼び、心臓が拡張して血液を溜めこむときは血管にかかる圧力が下がり「拡張期血圧(下の血圧)」となります。

その血圧は、心臓が送り出す血液の量(心拍出量)と、それを流す血管の通りづらさ(末梢血管抵抗)によって決まります。

心拍出量に影響するものとしては、体全体の血液量や自律神経の働きが挙げられます。
例えば、脱水状態では体の血液量も減少して血圧は下がります。
一方で緊張しているときは自律神経のうち交感神経の働きが強くなり血圧は上がります。

末梢血管抵抗に影響するものとしては、血管の拡張・収縮、血管壁の弾性、血液の粘性が挙げられます。
例えば、入浴後は血管が拡張して血圧は下がります。
動脈硬化が進んで血管のしなやかさが失われると血圧は上がります。
血液がドロドロだと血管を流れにくくなって血圧が上がります。

さらには、腎臓から分泌されるホルモンは血液量や血管の収縮を調節して血圧に作用します。
このように、血圧は色々な要素によってその値が決まります。

 

高血圧症による合併症

血圧が高くても多くの場合、自覚症状はほとんどありません。
しかし放っておくと、知らないうちに血管や臓器にダメージが蓄積して次に挙げるような怖い合併症を引き起こしてしまいます。
血圧による血管への影響は血管内皮の障害とそれによる動脈硬化が主で、前者は細い血管(脳、腎臓、網膜など)、後者は大動脈から中くらいの血管(脳の主幹動脈、心臓の冠動脈など)に障害が出てきます。
動脈硬化は血管内皮の障害によってコレステロールが蓄積しやすくなってプラークが形成されます。

脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)

脳の細い血管が詰まる「ラクナ梗塞」、細い血管が破れる「脳出血」、首からの血管が繋がる中くらいの血管(脳主幹動脈)の動脈硬化による「アテローム血栓性脳梗塞」、脳主幹動脈の動脈硬化によりコブ(脳動脈瘤)ができて破れると「くも膜下出血」、いずれの病気も突然発症し、後遺症が残ることも少なくありません。

心疾患(心筋梗塞・心不全・不整脈)

動脈硬化により心臓を栄養している血管(冠動脈)が狭くなると「狭心症」、完全に冠動脈が詰まってしまうと「心筋梗塞」になります。
いずれも治療が遅れると致命的になり、場合によっては心臓の筋肉の動きが悪くなる後遺症が残ります。
また高血圧により心臓に負担がかかり続けると、心臓の筋肉が厚くなり(心肥大)、心筋梗塞による心筋障害とあわせて「心不全」の原因となります。
心不全は心臓のポンプとしての機能が低下している状態なので、進行すると肺に水がたまって息が苦しくなり酸素投与が必要になる場合があります。
さらには高血圧による心臓への負荷が増えると、「心房細動」などの不整脈が出やすくなり、心房細動は脳梗塞(心原性脳塞栓症)の原因になります。

腎臓病(腎不全)

腎臓は細い血管が集まって、血液から不要なものや水分を濾し出して尿を作っています。
長期間の高血圧により、腎臓の濾過機能が低下すると、最終的に透析が必要な腎不全に至ることもあります。
高血圧による腎臓の障害を「腎硬化症」といい、糖尿病による糖尿病性腎症と並んで透析の二大原因です。

大動脈疾患(大動脈解離・大動脈瘤)

動脈硬化が体の中心を通る大動脈で進むと、血管が内側と外側で裂けてしまう「大動脈解離」や、血管が膨らんで「大動脈瘤」になってそれが破けてしまう「大動脈瘤破裂」を来してしまう場合があり、いずれも命に関わる怖い病気です。

高血圧性網膜症

高血圧により目の網膜にある血管に障害を来した状態です。
他にも網膜動脈閉塞症虚血性視神経症網膜静脈閉塞症の原因となり、最悪の場合は失明する場合があります。

認知症

血管性認知症というタイプの認知症の原因となります。

高血圧症の治療

高血圧症も脂質異常症と同様に生活習慣が非常に重要です。

  • 減塩(食塩摂取量1日6g未満)
  • カリウムの積極的な摂取(野菜、果物など)
  • 禁煙
  • 定期的な運動(ウォーキングなどの有酸素運動を1日30分以上、週3日以上)
  • 体重管理(BMI25未満)

他にもアルコールや睡眠、ストレスなどが血圧に関係するとされています。

生活習慣の改善を行っても目標血圧:診察室血圧130/80 mmHg未満、家庭血圧125/75 mmHg未満を達成することが難しい場合、もしくは緊急性があり早期の血圧低下が必要と判断される場合は薬物治療が必要になります。

高血圧症の治療薬は非常にたくさんの種類があり、患者さんの状態に合わせた最適なものを当院では提案させていただいております。
1種類の薬で目標を達成できる方もいれば、何種類かの薬を組み合わせて治療することが必要な方もいます。
また血圧は、はじめに述べたように色々な要素の影響を受けるので、常に変化するものです。
1日1日ごとの血圧で薬を飲んだり飲まなかったりするのは効果的ではありません。
なぜなら、高血圧症の治療の目的は目標血圧を達成することではなく、将来の合併症のリスクを減らすことだからです。
変動も含めて毎日の血圧を記録していただき、それを見せていただきながら最適な治療が継続できるよう努めております。
お気軽にご相談ください。

<参考文献>
日本高血圧学会 高血圧管理・治療ガイドライン2025


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内科・脳神経内科・循環器内科・小児科
徳重クリニック
院長 池田知雅
神経内科専門医、認知症学会専門医、頭痛学会
頭痛外来、もの忘れ外来